2015/10/08

文系のための「デジタル・カメラ」の選び方(1)

情報収集を行うための機材には、様々なものがあるけれど、
目で見た情報を記録するための機材の代表は、
やはり、カメラである。最近では、デジタル・カメラである。

ということで、今回は、デジタル・カメラの選び方について考えてみる。

とりあえず、デジタル・カメラのランクで分類と、
大きく分けて、7段階に分けることができる。
すなわち、お手頃感覚の高い方から…
  1. スマートフォン(購入不要レベル
  2. コンパクト・デジタル・カメラ(10,000円程度まで
  3. 高級コンパクト・デジタル・カメラ(30,000円〜100,000円程度
  4. ニューネオ一眼カメラ(50,000円〜100,000円程度
  5. ミラーレス一眼カメラ(50,000円〜150,000円程度)
  6. 一眼レフカメラ(50,000円〜500,000円程度
  7. 業務用カメラ(10,000,000円程度
スマートフォンは、かなり魅力的なツールで、
将来的には、業務や学術調査で使えるツールになり得るが、
画質が低く、遠くのものを写せないのが難点である。

コンパクト・デジタル・カメラは、特殊に進化したものもあり、
限定された用途では、侮れない存在となっている。
ただし、汎用性という点では、十分には機能しない

高級コンパクト・デジタル・カメラは、センサーのサイズや、
カメラの内部的な処理が高度で、綺麗な写真やビデオが撮影できる
暗所に弱いということを除けば、業務や学術調査にも十分な機能を発揮する

ニューネオ一眼デジタル・カメラは、広角域から超望遠に対応した
ズームレンズを搭載しているので、基本はこれ一台で何でもできる
ただし、センサーサイズが小さく、画質を犠牲にしている機種が多い

ミラーレス一眼カメラは、コストと性能と携帯性のバランスが良く
レンズの選択肢もかなり充実してきている。
目的に応じて改造したレンズを付けやすく、そのための関連部品が豊富である。

一眼レフカメラは、撮影システムが充実しているけれども、
ミラーレス一眼と比較して、高価で、重くて、大きくて…
それを保持する三脚なども重くなるのでフィールド・ワークには向かない

業務用カメラは…お金がある人はどうぞ。私は、手に持ったことがないので知らない。

このように整理してみると、結論から言うとミラーレス一眼カメラが理想的である。
写真好きな人は、高級コンパクト・デジタル・カメラと一眼レフを持てば良いが、
情報収集のためのツールとして考えるのであればミラーレス一眼カメラが優勢である。

特に、学術調査分野では、根強い一眼レフカメラ信仰があるけれども、
カメラ本体だけではなく、適切な付属品を買い揃えるだけで、高額になる。
また、調査機材に占めるカメラ関連の比重が大きくなりすぎる

一眼レフ・カメラはファインダーを覗いて構えるので、
特に海外では、地元の人々に威圧感を与える可能性もある。
私も、それが原因で、少々恐い思いことがある…。

ミラーレス一眼カメラは、とにかく軽いので、常時携行に向いているほか、
軽量安価な三脚でも実用に耐え、中堅機種のドローンに搭載することもできる
落下などによる様々な事故による被害を最小限に抑えることができる。

そもそも、最初からプロフェッショナルを対象としていないため、
付属品が高性能で安価であるということに加えて、
新規的なアイデアが早い段階で搭載されることも多い。

最後の利点は、意外に役立ったり、新しい方法の着想に繋がることもある。

さて、ここまでのところは本体の種類選びに焦点を当ててきたが、
実際に選ぶ際には、以下の点を確認することが望ましい。
いずれ、個々の用語は説明するとして、とりあえず…
  • センサー・サイズ:APSサイズ(23mmx13mm程度)
  • RAWデータ:12bit 以上
  • 給電機能:USB給電が可能(給電しながら撮影できるのが理想的)
  • 外部出力:HDMI経由でリアルタイム・プレビューが可能
  • 接続機能:無線LANによる接続機能
  • 動画機能:Full HDで30p 以上のフレームレート
  • レンズ:とりあえず、標準ズームレンズ付きがおススメ
何やら、ややこしい言葉が並んではいるが、
ほとんどのミラーレス一眼カメラは上記条件を満たしている
ただし、USB給電しながら撮影できるものは限られる。

最後に、見落としがちではあるがボディ・カラーについても考慮がいる。
文化財の撮影が主たる目的であれば黒色を選択した方が良いし、
フィールド・ワークが主たる目的であれば、白や淡い色を選んだ方が良いかもしれない。

というのは…

まず、文化財の撮影の場合には、対象の表面に光沢がある場合、
被写体にカメラが映り込みやすく、目立ってしまうことがあり、
それを避けるためには黒色を選んだ方が良い。

一方、フィールド・ワークで、特に人を相手にした撮影をする場合、
相手に不要な警戒心を抱かせないために、優しい色合いの方を選び、
リラックスした状況での撮影を行えるように考慮する必要がある。

文化財フィールド・ワークは、一例であって、これら以外の場合であっても、
主たる利用シーンあるいは調査地域の文化をもよく踏まえた上で、
最適であると思われるボディ・カラーを選ぶべきである。

こうして、ボディ・カラーのことも考えると、実は、
ミラーレス一眼カメラは、色の選択肢が多い機種もあるので、
そういった点も、隠れた利点の一つと言えるかもしれない。

さて、こうして、理想的なカメラ本体の選ぶ基準は整理できたが、
レンズの選び方や、レンズそのものについても検討する必要がある。
ということで、次回はレンズについて整理したい。

2015/10/07

文系のための「地理情報標準」(1)

様々な情報管理システムの中でも、特に空間情報を扱うシステムのことを、
地理情報システム(GIS: Geographic Information Syste)あるいは、
地理空間情報システム(GIS: Geospatial Information System)と呼ぶ。

略称を使うとどちらも同じで、略称でGISと呼ばれているものがある。

教科書的な定義では、「地理空間情報を取得、保存、統合、管理、分析、
伝達して、空間的意思決定を支援するコンピュータベースの技術」である。
(村山裕司・柴崎亮介(騙)(2008). 『シリーズGIS第一巻 GISの理論』, 朝倉書店.)

おそらく、このGISというのが一体どのようなシステムなのか、
今となっては、当たり前すぎる技術となっていて、
明確な定義をすること自体が困難なものとなっている。

良い言い方ではないけれど「高度な電子地図システム」としておく。

実を言うと、このGISの歴史を述べるのは少々厄介で、
学界、政界、財界、のそれぞれの視点という思惑によって、
その起源は異なったコンテキストで語られている。

今では、GISのたとえ話で頻繁に登場するカーナビやGoogle Mapなど、
かつては、GISとは異なるものとして扱われていたし、
一緒にすることを極端に避けようする人も少なかった…。

いやいや、語り始めると本題に入れないので、今は、この話は置いておく。

そうそう、ここで議論するべきことは、GISの歴史や定義の話ではなく、
もっと技術的な内容である。すなわち、GISのデータ管理の話で、
特に、その基礎的な設計方法について整理するのであった。

GISにおけるデータを設計する上で一番厄介な問題は、
GISが現実世界のありのままの姿に対する人の認識
というのが基礎的な概念として必要となっている点である。

つまり、「哲学的な話」と「技術的な話」の両方が必要となってくる。
実際に、GISのデータに関わる国際標準『地理情報標準は、
かなり抽象的な認識論に基づいていて、多くの技術者を悩ましている。

おそらく、この国際標準を理解できる素養があるのは、
高度な技術力を持つ理工系エンジニアではなく、高い教養と
観念論的な思考が可能な文系出身のエンジニアであると思う。

というのは、GISでは対象となる現実世界をコンピュータ上に
モデル化する必要があって、したがって、現実世界の捉え方
というのが、どうしても避けられない問題となってくる。

そうした捉え方の一つが「オブジェクト指向GIS(OOGIS)」であり、
地理情報標準』という標準は、このOOGISの考え方に基づいているのだが、
まずは、この標準について、簡単に整理しておくことにする。

そもそも、先ほどから『地理情報標準』と言っているけれど、
国際的には「ISO 19100」シリーズと呼ばれていて、
国際標準化機構という機関が国際標準として策定している。

この国際標準化機構は、ISOと言う略称で知られていて、
生産品、製品、素材、材料、プロセスに関する規格が中心に扱われる。
有名なものに、クレジットカードの寸法やネジの規格などがある。

ISOでは、技術委員会の下で標準化が進められていて、
ISO 19100シリーズの場合は、211番目の技術委員会「ISO/TC 211」で
検討が重ねられている。

この委員会での議論の範囲は、「地球上の場所に直接的、
あるいは間接的に関連付けられた事象の情報について、
体系的な一連の標準として確立すること」である。

また、具体的には、「異なるユーザーやシステム間で電子化された
データを管理、取得、加工、分析、接続、表現、伝達するための
方法論、ツール、サービスを明確化する」ことを目的としている。

何やら、難しい話に聞こえるが、要するに、地理的な情報に
関わる情報の取扱全般におよぶプロセスを整理するための
国際標準を作るのがISO/TC 211の目的となっている。

ISO/TC 211では、さらに、議論するべき内容によって、
ワーキング・グループが置かれていて、
それぞれのワーキング・グループで標準化を行っている。

  • WG 1: フレームワークと参照モデル
    • ISO 19101: 参照モデル
    • ISO 19103: 概念スキーマ言語
    • ISO 19104: 専門用語
    • ISO 19105:  適合性と検証
    • ISO 19121: 画像とグリッドデータ
  • WG 2: 地理空間データモデルと操作(解散)
    • ISO 19107: 空間スキーマ
    • ISO 19108: 時間スキーマ
    • ISO 19109: アプリケーション・スキーマの規則
    • ISO 19123: 被覆の幾何と機能のためのスキーマ
  • WG 3: 地理空間データの管理(解散)
    • ISO 19110: 地物カタログの方法論
    • ISO 19112: 地理識別子による空間参照
  • WG 4: 地理空間サービス
    • ISO 19116: 位置情報サービス
    • ISO 19117: 描画法
    • ISO 19118: 符号化
    • ISO 19119: サービス
    • ISO 19125: シンプル・フィーチャー・アクセス
    • ISO 19128: Webマップ・サーバーのインタフェース
    • ISO 19136: Geography Markup Language(GML)
    • ISO 19142: Webフィーチャー・アクセス
    • ISO 19149: 地理情報のための権利表示言語(GeoREL)
    • ISO 19161: 測地系
    • ISO 19164: 登録サービス
  • WG 5: プロファイルと機能に関する標準(解散)
    • ISO 19106: プロファイル
  • WG 6: 画像
    • ISO 19120: 機能的標準
    • ISO 19129: 画像、グリッド、被覆の枠組み
    • ISO 19130: 地理情報取得のための画像センサーのモデル
    • ISO 19159: リモートセンシング・センサーのキャリブレーション
    • ISO 19163: 画像とグリッドデータの内容コンポーネントと符号化規則
  • WG 7: 情報の公共性
    • ISO 19115: メタデータ
    • ISO 19122: 人材の資格と認定
    • ISO 19126: フィーチャーの概念辞書と登録
    • ISO 19137: 空間スキーマのためのコア・プロファイル
    • ISO 19139: メタデータの実装
    • ISO 19144: 分類システム
    • ISO 19150: オントロジー
    • ISO 19152: 土地管理ドメイン(LADM)
    • ISO 19160: 住所表記
    • ISO 19165: デジタルデータとメタデータの保存
  • WG 8: ロケーション・ベース・サービス(解散)
    • ISO 19132: ロケーション・ベース・サービスの参照モデル
    • ISO 19133: ロケーション・ベース・サービスの追跡とナビゲーション
    • ISO 19134: ロケーション・ベース・サービスのマルチモーダルルーティング
  • WG 9: 情報管理
    • ISO 19111: 座標による空間参照
    • ISO 19127: 測地系コードとパラメータ
    • ISO 19131: データの製品仕様書
    • ISO 19135: 項目登録のための手順
    • ISO 19145: 地点の表現の登録
    • ISO 19146: クロス・ドメインの語彙
    • ISO 19153: 地理空間の電子的な権利管理参照モデル(GeoDRM RM)
    • ISO 19156: 観察と計測
    • ISO 19157: データ品質
    • ISO 19158: データ提供の品質の確実性
    • ISO 19162: WKTによる座標参照系の表現
  • WG 10: ユビキタスと公共アクセス
    • ISO 19147: 移送ノード
    • ISO 19148: 線形参照
    • ISO 19154: ユビキタス公共アクセス参照モデル
実際には、同じ標準を異なるワーキング・グループで議論されていたり、
審議内容が別のワーキング・グループに移管されたり、
あるいは、解散したワーキング・グループも存在するので、
ここに書かれている通りでは無い部分もある。

そういった、細かい点は置いておいても、これを見てみると解るように、
様々な内容について議論されていて、各ワーキング・グループで、
関連する標準について議論されていることがわかる。

残念ながら、私自身、全ての標準の中身を理解できている訳ではないし、
これらの標準の全てを理解できている人は、世界でも居るのか…。

ところで、本ブログでは、ISO 19100 シリーズとは呼ばずに、
地理情報標準』という言葉を使っているが、
その理由に関しても、少し、説明しておく必要がある。

実は、国際的な標準としてはISO 19100として通用しているけれど、
日本国内に同標準を適用するには、日本にのみ関わる部分や、
日本の特有の事情で補足あるいは追加するべき点がある。

そういった部分を精査して、国内向けに別の標準が作られている。
その標準は、日本工業規格(JIS)JIS X7100シリーズとして、
国内での普及が始まっている。

さらに、国土地理院は、JISX7100シリーズのうち、
標準の中でも実用上必要な部分を取り出して体系化し、
地理情報標準プロファイル(JPGIS)』を策定している。

これとは別に、かつては、国土地理院と国内民間企業が共同研究として、
ISO/TC 211の議論に準拠して国内への適合を検討していた時期があって、
その成果が『地理情報標準(JSGI)』としてまとめられている。

細かい内容を見てみると、当然のことながら、それぞれに相違はあるけれど、
全体的な体系や考え方は同じなので、総称して『地理情報標準』としている。
この呼び方の方が、内容がよく解るというメリットもある。

とりあえず、『地理情報標準』については、この辺りで止めておいて、
少しずつ、同標準の考え方というか、OOGISの考え方について、
次回から、理解を進めていきたい。

2015/10/06

文系のための「デジタル・カメラ」の設定(2)

さて、デジタルカメラにおいて重要な指標の一つとしてF値があった。
これは、焦点距離とレンズ口径から導出され、
光量と被写界深度に関わる指標であった。

今回は、特に被写界深度について、もう少し詳しく考えてみる。
この被写界深度は、少々、計算が複雑ではあるけれど、
焦点距離F値被写体距離錯乱円、の各パラメータを要する。

ここで、さっぱり理解できないのが「錯乱円」という用語である。
この用語を理解するためには、遠回りにはなるけれど、
光とレンズによって像が結ばれる仕組みを理解する必要がある。

既に述べた話ではあるけれど、レンズを通して入った光は、
厳密には一箇所でのみ像を結ぶことになっている。
これは、小学校か中学校で実験した通りである。

焦点が最も合っている地点では、レンズを通して入ってきた光は、
限りなく小さな光の粒(点)としてスクリーンに投影され、
そこから前後して、像として投影される光の粒は大きくなる

つまり、いわゆる「ピンぼけ」の「ぼけ」は、
入ってきた光の粒の経が大きいために周囲の光と重なり
はっきりと見えないような状態であると考えられる。

しかしながら、実際には像を結ぶ部分には見た目上の許容範囲があって、
範囲内であれば焦点があっているように見える。
そうした許容範囲の限界のことを「錯乱円」と呼ぶ。

何やら、言葉として理解しにくいが、英語では、
circle of confusion(不明瞭な円)と言う。
こちらの方が解りやすいようにも思える。

では、その範囲はどのように求めることができるのか?

実をいうと、かなり曖昧な定義で、客観的に求めることは難しい。
そもそも、この概念はフィルム・カメラの構造に由来しているもので、
デジタル・カメラの特性を考えると、そのままには当てはまらない

というのは、フィルム・カメラの場合には、感光物質の粒子の大きさがあって、
その粒子の大きさよりも小さければ許容範囲内とすることができるが、
デジタル・カメラのCCDセンサーでは、そうした区別ができない

また、製造メーカーや画素数なども関わってくるので、
厳密に求めるには、様々な実験を繰り返す以外に方法は無い。
現状では、フィルム・カメラに35mmフォーマットに換算して考えている。

一般的には、35mmフォーマットの錯乱円の直径は、
0.025〜0.035mm 程度と言われていて、間をとって、
0.03mmを基準として計算することにする。

さて、これで、一番厄介なパラメータのことが決着がついた(?)
として、いよいよ、被写界深度の計算に入って行くことにする。
この式、実は、少々ややこしい。

というのは、被写界深度は、焦点が最もあった位置から、
前側(Tf)後側(Tr)があって、それらを別々に計算した後に、
二つの結果を足しあわさなければならないのである。







ここで、fが焦点距離FがF値Lが被写体距離δが錯乱円を表す。
この式は、理論的な理屈の結果として導出された最後の式なので、
これだけ見ても内容は解らないが、少なくとも、電卓では計算できる。

焦点距離に関しては、単焦点レンズの場合には、メーカーの仕様で確認でき、
ズームレンズでは、レンズの目盛りで確認するか、最近のものは、
ディスプレイで表示できるものもあるので、そこで確認できる。

どちらの方法も使えない場合は…以下の方法で計算できる。



なお、η(エータ)はセンサの縦長Lが被写体距離Hが被写体高であり、
焦点距離と被写体距離の比率と、対象物の高さとセンサの縦長の比率であり、
したがって、対象物の高さ一杯に写真を撮影し、距離を測れば求まる。

ただし、f値は35mmフィルム・カメラに換算する必要があり
APS-Cという規格の場合、メーカーによって1.5〜1.7倍をする必要がある。
通常は、製品仕様の「35mm換算という項目を見ることで確認できる。

例えば、SONY α6000に、E 16mm F2.8 という純正レンズを装着し、
F値を2.8で、1メートル先の被写体を撮影しようとした場合、
必要なパラメータを代入すると次のようになる。
  • F=2.8
  • δ = 0.030
  • f = 16×1.5=24
  • L = 1m=1000mm
したがって、






ここで算出された値は単位がミリメートル(mm)なので、
被写界深度約298.005mmであり、これをメートル単位に変換すると、
焦点が合う範囲は、概ね、0.9m 〜 1.1m の範囲である。

もしも、撮影対象が0.3m よりも厚みがある場合には、F値を上げるか、
対象までの距離を十分に離す必要がある。

ただし、この値はあくまで目安程度であり、絶対的なものではない
ここで求めた値を参考値として、何回かテスト撮影をすることが望ましい。

最近は、スマートフォンのアプリにも簡易計算ができるものもあり、
そうしたアプリを事前に準備しておくと、現場での作業が効率化できるが、
事前に、焦点距離が35mm換算であるか否かについては確認が必要である。

文系のための「デジタルカメラ」の設定(1)

デジタル・カメラを何気なく使っている人は多いが、
全て「おまかせモード」で撮影している人が大半である。
それでも困らないのは、最近のカメラがよく出来ているからである。

「何が写っているか?、が判れば良い」というのであれば、
デジタル・カメラの標準機能に任せてしまうのは反対しない。
迂闊なことをしてしまうよりも、はるかに綺麗な写真が取れる。

しかしながら、もう少し進んで「考えて撮る」には、少しだけ知識を要する。
そうしたちょっとした知識を持つだけで、実際には、
デジタル・カメラの活用範囲が広がり、失敗が少なくなる

ところで、最近のデジタル・カメラには、何やらダイヤルが付いている。
その中に、「P」、「A」、「S」、「M」と大きく書いてあるものがある。
電機屋の店員は、「とりあえず、Pというダイヤルで…」と言うことが多い。

もう少し、知っている人は、これらがそれぞれ…
  • P:プログラム・モード
  • A:絞り優先モード
  • S:シャッター優先モード
  • M:マニュアル・モード
を示していることを知っているかもしれない。
他にも、何かあるかもしれいが、それは置いておく。

とにかく、この四種類のモードから推測するに、
何やら、「絞り」と「シャッター速度」が重要であることが解るが、
この4つのモードのうち、文系として最も必要とされることが多い
と考えられるのが「A」の「絞り優先モード」である。

例えば、フィールドワークで風景全体を収めたい場合や、
文献資料やガラス乾板のデジタル資料化をしたいときなど、
周囲の環境光や焦点を考慮して撮影することが望まれる。

さて、このモードについて理解するためには、レンズの「焦点距離
レンズの開放「F値レンズの「画角撮影時の「絞り値
そして、被写体までの「距離である。

これらは、様々な資料を撮影する上で極めて重要な要素である。

さて、上記の要素のうち、直感的に解りにくいのがF値であるが、
その計算は、焦点距離レンズ口径によって導出することができ、
どのような指標であるかは、計算式を眺めてみると解りやすい。



ここで、F が求めるべきF値であり、
f は焦点距離、D はレンズ口径である。したがって、
F値は、レンズの光量と焦点の合う範囲の指標となる。

絞り」とは、光の量を調整するための機構で、
レンズの内で閉じたり、開いたりして、レンズ口径を調整する。
絞りを開るとレンズ口径は広がり、絞りを絞るとレンズ口径は狭まる。

ということを理解した上で、カメラのレンズの製品仕様を見てみると、
レンズ性能を知るために「開放絞り」と「最小絞り」の項目があって、
そこにもF値というのを使って表現していることが解る。

何やら、いきなりよく解らないが、もう少し落ち着いて考えてみる。

まず、分母の部分の「レンズ口径」に的を絞って考えてみると、
光を多く取り込める大きなレンズ口径ではF値が小さくなり、
その逆に、小さなレンズ口径はF値は大きくなる。

要するに、暗い場所では絞りを開いてF値を低く設定した方が良く、
明るい場所では絞りを絞ってF値は高く設定した方が良い。

次に、分子の部分に当たる「焦点距離」について考えると、
レンズから結像する場所までの距離が短いほどF値は小さく
その逆に、その距離が長いほどF値は大きくなる。

要するに、レンズ口径と焦点距離の関係から結像地点までの角度を表している。
レンズを通して入ってきた光は、厳密には焦点は一箇所でしか合わないけれども、
この角度が小さいほど、その像を結ぶ許容範囲(ボケない範囲)も広くなる

したがって、F値が大きい(焦点距離が長い)ほど、像を結ぶ範囲が深くなり、
一方、F値が小さい(焦点距離が短い)ほど、像を結ぶ範囲は浅くなるので、
奥行きのあるものは絞りを絞ってF値を高く設定した方が良い。

こうした結像範囲の深さのことを「被写界深度」と呼ぶ。

以上のことを理解した上で改めて開放絞り最小絞りを見てみると、
絞りを完全に開いた状態でのF値のことが開放絞りであり、
その逆に、絞りを絞りきった状態でのF値が最小絞りということが解る。

「F値」について、さらに、重要なこととして、F1.0の基準値では、
レンズを透過しても光の減衰が無い、と定義されていて、
円の面積に比例した数列でF値は変化する

ここで、F1.0というのは、人の目が基準となっていて、
その基準値に対する相対的な光量の減衰を問題としている。

ここで、あるレンズの面積をAnとすると、以下のことが言える。



また、円の面積計算から、レンズ口径は以下のように表現できる。



ここで面積を二倍にした場合のレンズ口径は、
以下のようにして計算できる。



つまり、面積が二倍になるようにレンズ口径を変えるということは、
入っていくる光の光量が半分になることを意味し、
そのようにレンズ口径を変えるには、√2 刻みとなることが解る。

したがって、F値の計算は以下によって求められる。



ここで、nは「EV(Exposure Value)刻み」と呼び、
露出の段階を表す値のことである。
これを実際に計算してみると以下のようになる。

EV(n) F値 面積
2.000 0.5 1809.557
1.500 0.6 1279.550
1.000 0.7 904.779
0.500 0.8 639.775
0.000 1.0 452.389
-0.500 1.2 319.888
-1.000 1.4 226.195
-1.500 1.7 159.944
-2.000 2.0 113.097
-2.500 2.4 79.972
-3.000 2.8 56.549
-3.500 3.4 39.986
-4.000 4.0 28.274
-4.500 4.8 19.993
-5.000 5.7 14.137
-5.500 6.7 9.996
-6.000 8.0 7.069
-6.500 9.5 4.998
-7.000 11.3 3.534
-7.500 13.5 2.499
-8.000 16.0 1.767
-8.500 19.0 1.250
-9.000 22.6 0.884
-9.500 26.9 0.625
-10.000 32.0 0.442
-10.500 38.1 0.312
-11.000 45.3 0.221
-11.500 53.8 0.156
-12.000 64.0 0.110

この表において、F1.0が基準となっていて、その基準から、
EVを一段下げると、F値は√2倍して大きくなっていってる。
レンズの面積は、EVが一段下がるごとに半分となっている。

つまり、カメラのレンズ性能として開放F値が2.8のレンズを
F5.7(慣例的な標記ではF5.6)にすると、光量は半分になる。

では、実践的な話としては、どのような事が問題となるのか?

例えば、デジタル・アーカイブを構築するためには、
部屋の明るさと、撮影対象の奥行きを考慮する必要がある。
その時には、計算して最もバランスの良いF値を考える必要がある。

さて、ではどのようにして、そのバランスを考えるべきか?
その計算方法については、次のテーマとして考えることにする。

2015/10/05

文系のための「撮影」の基本(1)

静止画と動画のいずれについても、撮影時に注意することは多く存在する。
いざ、撮影するとなると、どうしても構図のことで頭が一杯になるけれど、
構図以前の問題として、いくつか抑えておくべきことがある。

最近は、画像編集ソフトの機能が充実しているので、
そうした自動処理で後から補正することは可能ではあるけれど、
撮影の段階で後処理の手間を少しでも軽減することには意味はある。

まず、最初に注意すべき点は撮影時のカメラの傾き
静止画だけであれば後処理は難しくはないのだけれど、
動画の傾き補正については、不可能とまでは言わないが楽ではない。

要するに、ここで注意するべき点は水平と垂直を意識すること。

水平と垂直をしっかりと意識し、撮影対象に対してカメラが傾かないように注意する。
最近のデジタルカメラの場合、グリッド線が表示されるため、
グリッド線をモニタに表示させることで、素人でも意識はできる。

撮影対象が風景の場合には、水平線や地平線、あるいは、
人工的な建物を基準としてグリッドの水平軸を合わせる
同時に、建物や樹木を基準に垂直軸を合わせる

これは、静止画の撮影だけではなく、動画撮影でも言えること。
グリッド線を表示させることで、撮影対象を画面中央に合わせるのも楽。
とにかく、グリッド機能を使いこなすことが一番重要

そうそう、カメラの位置という点では、スマートフォンは要注意!

スマートフォンで静止画を撮るときに縦方向で撮る人が居る。
実は、私も縦方向で撮ることが多い。いわゆる、タテイチ
しかし、動画の時には、タテイチは駄目。やってはいけない。

確かに、現在では、画面を縦に回転できるディスプレイは存在する。
っが、実際には、多くのディスプレイは横長のディスプレイ
撮影するときには、見る時のことも考えなければならない。

スマートフォンでタテイチで撮影した動画をパソコンのディスプレイや、
テレビの画面で見ると…。何やら、隙間から覗き見しているようで微妙
静止画は縦方向で撮る場合もあるが、動画は横方向にして撮るのが基本。

似た理由で、いわゆる、デジカメで動画機能を用いる場合にも、
カメラは横方向に撮るように注意する必要がある。
撮影中にカメラを縦横に回転させるのは言語道断!

ちなみに、昔、普通のデジカメで動画を撮影している時に、
縦横を回転させてしまい、見るときに途中で首を90度回転させて見たことがあった。
見難いこと、この上なかった。

とにかく、まずは、カメラを水平に据えることを意識しなければならない。

2014/12/09

文系のための「RDBMS」(1)

情報管理において最も重要なことは情報を「体系的」に管理することである。
パソコン上で、ファイルが「ごちゃまぜ」な人をよく見かけるが、
そういった人は、欲しいファイルが見つからず苦労する。

もちろん、私にもそういった経験はあるので批判はできないのだが…。

さて、コンピュータ上で情報を管理する方法には様々な方法がある。
いわゆる「ファイル」を単位で管理する方法がよく知られているが、
データベース」と呼ばれるシステムを使うこともある。

データベースをもう少し分かりやすく訳すと「データの基地」となる。
つまり、情報を一元的に体系的に管理する仕組み、あるいは、
管理されているデータそのもののことを指す言葉である。

データベースに関わる人は、「仕組み」と「データ」を分けて考え、
前者を「データベース管理システム(DBMS:DataBase Management System)」とよび、
後者を単に「データベース」と呼ぶ。

ということで、ここでは、DBMSの方について整理する。

DBMSには、様々な種類があるが、最も普及されていると考えられる
リレーショナル・データベース(RDMS: Relational DBMS)について、
簡単に解説することにする。

いきなり、横文字連発で気が滅入りそうになるけれど、
まずは、エクセルなどのスプレッド・シートを考えてみることにする。
なお、エクセルはデータベースの代わりにはならないので、あくまで例として。

まずは、スプレッド・シートについての基本的な話から整理することにする。

スプレッドシートは、セルと呼ばれる矩形の入力ボックスが行列のように配されている。
ここで、横方向のことをカラムと呼び、縦方向のことをロウと呼び、
そのような、行列に入力されたデータの塊をブックと呼ぶ。

一方データベースでは、カラムに相当する部分を「フィールド」、
ロウに相当する部分を「レコード」、ブックに相当する部分を「テーブル」と呼ぶ。
そして、RDBMSにおいて「関連」はテーブル間の関係を定義する。

RDBMSにおいても基本は同じような形態であると考えることができるが、
かなり乱暴な言い方をすると、複数のテーブルが相互に関連を持つことでき、
そうした関連に様々な意味を持たせることができるシステムである。

なるほど、解ったような、解らないような話である。

ポイントとなるのは、「キー」と呼ばれる存在である。簡単に言うとID。
これを、各データの先頭に付して、「キー」を使って関連を構築する。
例えば、以下のような関連を定義することができる。














ここでは、大学情報が入ったテーブルと教員情報が入ったテーブルの二つがある。
大学情報のPKは、主キー(PK: Primary Key)と呼ばれレコードの固有識別子である。
一方、教員情報のFK外部キー(Foreign Key)であり、これらが両者を関係付けている。

つまりこの例では、風保下郎、九楠保下良、フーバー・ホゲホゲの三名の教員の所属は、
教員情報のFK=1 から 大学情報の PK =1 を辿ってみると、風津大学であることが解る。
このようにRDBMSでは、固有のIDを使ってテーブル間の関係を定義することができる。

RDBMSの仕組みを大雑把に理解すると、このような感じであるが、
実際に運用するには、残念ながら、この程度では使えない。
エクセルのように「入力しながら…」というわけにはいかない

その当たりのことについては、少しずつ、話をしていこうと思う。

2012/12/29

文系のための「調査データの構造」(2)

どのような調査でも、調査の段階は大きく分けて二つの段階に分けることができる。
第一段階は情報収集の段階であり、第二段階は情報構築の段階である。
研究段階の分析と解釈は、再構築された情報を用いて行うのが常である。

紙媒体が中心であった時代には、主として分析と解釈に焦点を当てられてきたが、
その背景には、紙媒体の物理的な限界があると考えられる。
全データを記載しても、必要な情報を得難いにも関わらず、紙面をかなり圧迫する。

しかしながら、デジタルデータを用いるようになるとこの状況は大きく変わる
記録媒体の大容量化、検索システムの高度化、情報通信速度の高速化
こうした技術革新は、紙媒体の持つ物理的限界を簡単に克服してしまった。

問題は、こうした技術革新に多くの人がついて行けていない現状...。

一般的に研究「資料」は費やした人的、金銭的、時間的コストに価値があるが、
一方、構築された「情報」は認知度と共有性に価値がある。
情報は、公開し、共有することで価値が産まれるこれ超基本

珍しいデータや貴重なデータをハードディスクに放置しても意味が無い
著作権個人情報が関係しないデータであれば、積極的に公開した方が良い
もちろん、きちんと整理された状態で公開しないといけないが。

このように言うと、多くの人は納得してくれるのであるが、残念なことに
自分が他人のデータを使うことには何の抵抗も感じないが、
自分が他人のためにデータを公開することを拒否する人は非常に多い

近年、欧米を中心に過去の資料のデジタル化と公開化が進められていて、
それに伴って、歴史的な資料の再発見が相次いでいるが、日本では少ない
デジタル化と情報公開は、一緒に考える必要があるのだが...色々と中途半端。

さて、最初から話が逸れそうになったが、要するに、分析と解釈だけの時代は終わり
現在は、分析と解釈に至るまでに、どのような資料が収集され、情報が構築されたかが、
重要視されつつあるということ。この問題は改めて考える必要がある。

情報を体系的に管理することは、研究データの消失の危険性を低減し、
また、データ改ざんの問題を未然に防ぐこともできる。
第三者が後に研究過程を復元できるような試みは必須条件になりつつある。

本ブログで紹介する方法は、データ公開の要請に迅速に対応できる方法にもなる。
前回の話では、第一段階として、一次取得データの管理方針について述べたが、
今回の話では、第二段階として、二次加工データの管理方針について述べる。

一次取得データの話でも述べたように、取得した生データは直接加工しない。
これはオリジナルの状態で保存する。再度、取り直しができるとは限らない。
二次加工データは、一次取得データから必要な物のみをコピーして編集したデータ

まずは、データの構造を考えてみる。以下は、その模式図。
二次加工データは、「調査成果というまとまりで管理され、
さらに調査成果のまとまりを「」としたサブディレクトリを複数持つ。
版は、調査次数(年度)に対応するかもしれないが、対応する必要は無い

各「」の中には、各々の「作業」に応じたサブディレクトリが作られる。
例えば、図面、文章、集計表、測量図、写真、動画、音声...など。
要するに、日付毎で取得されたデータを種別毎に再割り振りする感じ。

ここで重要なポイントは、元データは、一次取得データから「コピー」すること
間違っても「移動」してはいけない。データの重複が生じても構わない。
一次取得データは、何があっても直接には触らないこと。

コンピュータのデータは、見た目が変わらなくても、
ちょっとした操作で、メタデータが書き換えられることがある
データを得た時の情報を可能な限り維持することが重要。

あとは、フォルダ名とファイル名の付け方。何を注意するのだったか?
確か、半角英数スペースと記号は使わないのだった。
そうそう、使って良いのは「_」の記号だけだった。

さてさて、これで、調査データの管理方法の初歩的な方針は理解できたはず。
ただし、このブログで示した方針は、あくまで全体的な概要であって、
より厳密に情報管理を行うためには検討すべき問題が山積している。

ファイル名やフォルダ名の付け方について、あまり詳しく述べていないが、
具体的に、どのような名称を付けるべきか?という問題や、
各フォルダには、メタデータが必要かもしれないという問題もある。

また、二次加工データに関しては、作業記録のログの記録方法や、
編集で行われた個別操作の記録の取得方法なども必要かもしれない。
では、ソフトウェアに依存するような操作の場合はどうするべきか?

実は、こうした内容こそ、各分野における情報標準の問題として議論すべきなのだが...。
まぁ、愚痴を言った所で、現状が変わる気配は全く無いので、
このままデファクトで標準を作ってしまうのは有りかもしれない。

ところで、前回の話と今回の話を合わせて見てみると、
全体的に複雑に見えたかもしれない。
これをもっと簡単にするには?という要望があるかもしれない。

本ブログでは、入門編からPython というプログラミング言語を使っているが、
要するに、前回と今回の記事で述べた方針を、Pythonで実装してしまおう、
というちょっとした意図があってのこと。

まだまだ、先は長いけれど、「えっ、パイソン?それって蛇?」って人には、
一応、文系のための「情報管理」の話を最初から読み進めることを推奨。
これから、少しずつ、難しくなっていく。